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ホンダVTECエンジンの変遷 ホンダVTEC(Variable Valve Timing & Lift Electronic Control System)はバルブタイミングとリフトを同時に切り換えられる機構として 世界で始めて1989年に量産エンジンに使用された。 運転状態に応じてエンジンの特性を変化させることが出来る為、全域の高性能化だけでなく、燃費の向上や環境性能に対しても大きく貢献 し、そのためにVTEC自体の使い方もさまざまな仕様へと変化していった。 初代のVTECは1.6L DOHC 160psという100PS/Lを搾り出す最高出力と実用域のトルク向上の両方を満足させるために用いられた。 その後のVTECはSOHCにも適用され、出力向上目的だけでなく、燃費向上た排気性能向上のために用いられたり、気筒休止の為の機構として も発展して行き、これからも発展していく技術となっている。 1 初代VTEC 1980年代後半DOHC VTEC 1980年代はガソリンエンジンの高回転化、高出力化が進んだ時代であった。エンジンの出力向上には通常より多くの混合気を燃焼さ せる やり方とフリクション低減などを行う場合とがあるが、より多くの混合気を燃焼させる場合には体積効率の向上が必要になる。 体積効率の向上は、過給機を使用する場合意外は、吸気管の長さや太さ、バルブタイミング、気筒容積、エンジン回転数などで 決まる吸入空気の圧力波を同調させることでこれを実現している。 初期のDOHC VTECは低回転時に適したバルブリフト、作用角と高回転時に適したものの二種類を併せ持つことにより、その時々のエンジン 回転に応じて切り換えを行うことで出力向上を狙うものとして1989年に世界で初めてに量産エンジンに搭載された。 構造としては吸気側、排気側とも高回転用カム山1つ、低速側カム山2つを持つカムシャフトと高回転用ロッカーアーム、低回転用 ロッカーアーム、油圧制御ピストンで構成され、エンジン回転が低い場合は低下回転用カム山とロッカーアームでバルブを駆動し、高回転 時は油圧ピストンを作動させ、高回転用カム山とロッカーアームでバルブが駆動されるような構造であり、油圧ピストンの動作はECUにて 制御されている。このような2段階の切り換え機構により、一般的な、カム山が一種類のエンジンに比べ低回転領域から高回転領域までの広範 囲で出力を向上させることが可能となった。 2 VTEC−E 1990年代前半 1990年代に入ると環境問題への関心が世界的に広まり始め、地球温暖化の主要因とされるCO2排出を削減することが注目されるよ うになった。 CO2削減とは、ほぼ燃費向上と同義語であり燃費改善の有効手段の一つである希薄燃焼のコンセプトを自動車用エンジンに持ち込むメーカー が増加してきた。 希薄燃焼を行う場合、理論空燃比以下に混合気を薄くすることになるが、このような混合気で燃焼させた場合、燃焼が不安定になる問題が 発生するようになる。 その対策としてシリンダー内にスワール流やタンブル流を生成し乱れを強化することで燃焼を安定させるような手法が良く使用される。 VTEC-Eの機構は吸気2弁あるうちの一方の弁を低回転域では閉じたままにすることによって、吸気工程中シリンダー内にスワール流を発生 させ、希薄混合気であっても安定した燃焼を確保し、高回転域になった場合は吸気2弁を両方とも作動させ従来エンジンと同等の出力性能 を確保するというものである。 SOHCエンジンに用いられた、VTEC-Eは弁駆動用のプライマリーカムと休止弁用セカンダリーカムの二つのカム山を持つカムシャフトとプライマリー、 セカンダリー用それぞれロッカーアームを持ち、両ロッカーアームを連結させたり離したりするための油圧ピストンを装備している。 低速域ではプライマリーカムで駆動される弁は休止状態になるが、実際はインジェクターから噴射された燃料が溜まるのを防止するため、1mm程度 リフトさせている。高速域では油圧ピストンでプライマリー、セカンダリー両方のロッカーアームが油圧ピストンで連結され、双方の弁とも セカンダリーカムで開閉される。 VTEC-Eはもともと燃費向上のために生まれてきた技術であるため、フリクション低減アイテムも相当量盛り込まれている。 3 3-Stange VTEC 1990年代後半 前述の燃費向上を狙ったVTEC-Eの高回転域での出力を向上させるために考案されたもので、高回転域用にさらにもう一つバルブタイ ミングを追加 し、3段切り換えとしたものである。 構造としては、三段切り換えとする為低回転用、中回転用、高回転用の三種類のカム山を持ったカムシャフトとそれぞれに対応する三つの ロッカーアームと二つの油圧ピストン(従来油圧ピストンは一つだった)で構成されている。低中回転域の動作は前述のVTEC-Eと同様で 低回転域ではプライマリー側のバルブは作動させるが、セカンダリーのバルブは休止状態になる。次に中回転域ではプライマリーとセカンダリー のロッカーアームが油圧ピストンにより連結され、二つのバルブがリフトするようになる。さらに高回転になると、もう一つの油圧ピストンを 作動させ三つのロッカーアームを一つにまとめることにより、ロッカーアームが高回転域用カム山で駆動するようになり、低燃費と高出力の両立が可能となる。 4 DOHC i-VTEC 1990年代後半〜2000年代初め 環境負荷低減と高い動力性能の実現は永遠に自動車用エンジンに求めれれる課題であり、2000年10月に発売したストリーム用のリー ンバーンエンジン へ採用したのを始めとし以降、進化したi-VTEC機構は順次4気筒2.0Lクラスのエンジンへ採用される。 これまでのVTEC機構は出力向上のため、エンジン回転数に応じて使用するカムを換えバルブリフトを変化させて来た。しかし今回、従来のリフト変化に加え カムの位相を連続変化させるVTC機構を追加し、エンジン負荷によって制御を行うことにより体積効率向上を狙っている。 このi-VTECの効果は、VTEC-Eの所などで紹介したように、低回転域での1バルブ休止により発生するスワール流による急速燃焼、希薄燃焼に加え、 カムの位相を変化させることによりバルブオーバーラップ量を制御し、ポンピングロスを低減させることが可能となる。 また、アイドル時にはオーバーラップ量を少なくする様カム位相を制御することで不正燃焼を防止することが可能となり、アイドル回転数を低下させることが 可能となり、エンジン回転数毎に位相変化を行うことにより、従来機種に対し中回転域のトルクも向上させることが可能となった。 5 i-VTEC VCM 2000年初め〜中 カム山を切り換えるVTEC機構では、カムリフトが”0”のカムシャフトを設定することにより、バルブ休止が可能となる為、特定気筒 のバルブ を休止させることにより気筒休止エンジンとすることが出来る。 このことを応用し、V6エンジンの片方のバンクに気筒休止VTEC機構をを持たせ低回転の領域では3気筒、高回転の領域では6気筒となるような 可変シリンダーシステム(VCM)を実用化した。 VCM用 i-VTECの課題は切り換え時のトルク挙動とバルブ作動と休止の切り換えを油圧の低い低回転域で安定して行うことである。従来のVTEC機構 は 油圧がかからない状態の時、スプリングの反力によって油圧ピストンを押し戻し、ロッカーアームを分離する構造となっている為、油圧ピストンを 作動させる場合はスプリング反力に打ち勝つ油圧が必要となっている。 しかし、VCM用i-VTECは従来の油圧経路に加えもう一つ別の油圧経路を設けスプリング反力で戻していた油圧ピストンを油圧で戻す用に変更した。 この二系統油圧方式は従来のものと比較して、必要油圧の低減が行え、エンジン回転の低い低回転領域であっても新たにオイルポンプを追加する ことなく、気筒休止を行うことが出来るようになった。 また、VCM機構を採用することにより、燃費を排気量3.0Lのエンジンであっても1.7L相当の燃費を実現した。 6 i-VTEC 吸気弁遅閉じ 2005年〜 2005年に発売された1.8Lエンジンに搭載されたi-VTECは発進時や加速時に最大出力を発生するカムで吸気弁を駆動し、エン ジン負荷が低い一定速度での 走行時などでは、片側の吸気弁の閉じる時期を遅らせたカムに切り換を行う、この時同時に電制スロットルバルブを開くことにより、ポンピングロス を低減させるようにした。 この吸気弁遅閉じのサイクルは膨張比を大きくすることが出来る高膨張サイクルとなり、燃費の向上に有利なサイクルではあるが出力面では不利 となる為、燃費と出力のバランスを考慮し出力カムと遅閉じカムを切り換える制御を行っている。 このエンジンではVTECの切り換え機構を吸気2弁の片側の弁にのみ採用している。 今後 は、ドイツBMW社のバルブトロニックにあるような、連続可変リフト、タイミングによるスロットルレス化を目指すべく、本田技研のVTEC技術もますます 応用発展していくと思われる為、今後の技術開発に注目して行きたい。
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